一滴の油・・・
『一滴の油、これを広き池水の内に点ずれば、散じて満池に及ぶとや』
「解体新書」を訳出した杉田玄白が、自身の回顧録として残した言葉です。
あれやこれや考えるより、まず一歩を踏み出すことに全力を尽くすことが大事、そこから結果は生まれるという感じでしょうか。
さて今回は、この「一滴の油」にまつわる話。
私が駆け出しだった頃、お客様が教えてくれました。
「目黒さん、機械はね、油を一滴さすだけでね、トラブルを防ぐことが出来て、さらには寿命をも延ばすことが出来るんだよ」
この言葉、機械を販売するものとして、私の指針となっております。
「稼働部は、一カ月に一度で良いので、油(グリスアップ)をさしてくださいね」
新しく機械を導入していただいたお客様には、必ずお話させていただいております。
しかし、日々の業務に追われるお客様にとっては、その時間さえも取れないことも多いのが現実です。
そこで、こんな装置も付けております。
自動給油装置です。
これとて、半年から1年後には交換作業が発生します。
結局は点検、作業を必要とするのが機械です・・・
下の写真は養鶏場への導入10年が経過した東邦式発酵造粒装置の駆動部分です。
鶏ふんの粉にまみれてしまってますが、チェーンはしっかり油に包まれております。
こちらのお客様は、毎月1日に必ず場内全ての機械を点検注油されていらっしゃいます。
このお客様の機械はチェーンやベアリングが常に油で満たされているので、トラブルもなく、いつまでも新品のような滑らかに仕事をしております。
また機械に搭載されるギアードモーターなどは、自動車のエンジンと同じようにオイル交換が必要な機種もございます。
弊社の機械の場合、発酵造粒装置の撹拌用モーターがそれにあたります。
日々、状態の変わる畜ふんを365日撹拌し続ける非常に負担の大きい部分。
稼働状況に合わせて、半年から3年以内の交換をお勧めしております。
交換後はオイルレベルのチェックも欠かせません。
このように機械にとっての「油」は大変重要な作用をしております。
20年、30年と長く使うためにも、「一滴の油」を注すことを意識していただければ幸いです。
とは言え、そのようなお時間が取れない場合は、弊社にメンテナンスの依頼を遠慮なくしてください。
1年に1回でも、しっかりと「油」を注すことで、機械のトラブルを未然に防ぎ寿命を延ばす事につながりますので・・・
初めに紹介した杉田玄白の言葉とは趣意が変わってしまいますが、「一滴の油」を注すことから、機械が行う仕事は滑らかになり、ひいては業務そのものも滑らかに動き出すのかもしれません。
環境設備課 目黒